オウンドメディアは、企業の事業を伸ばす上で重要なツールです。
しかし、「オウンドメディア運営が上手くいかない」「オウンドメディアを分析する必要性や具体的な分析方法を知りたい」そういった企業のWeb担当者も多いでしょう。
今回はそういった方へ向けて、オウンドメディア分析の方法と、分析結果を活かした改善方法を詳しく解説します。
この記事を読めば、オウンドメディアの正しい分析方法が分かり、オウンドメディアをさらに効果的に運用できるでしょう。
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、自社で保有するメディアのことです。
オウンドメディアについて知る
オウンドメディアは自社で保有しているため、情報をコントロールしやすいという特徴があります。したがって、ブランディングやファン獲得が行いやすいメディアといえるでしょう。
BtoB企業でもオウンドメディアの導入が進んでいます。例えば、「サイボウズ式」は、中小企業向け業務改善を行うサイボウズ株式会社のオウンドメディアです。企業ブランディングの他、採用面でも候補者との面談が円滑に進むという副次的効果が生まれています。
オウンドメディアの分析に役立つツール
オウンドメディアの分析に役立つツールは、「Googleアナリティクス」「サーチコンソール」「GRC」の3つです。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、Google公式のアクセス解析ツールです。メディアへのアクセス経路やユーザー属性、ユーザー行動などが分かります。
有料版の「Googleアナリティクス360」もありますが、基本的には無料版で十分です。オウンドメディアを運営するのであれば、導入必須のツールといえるでしょう。
サーチコンソール
サーチコンソールは、Google公式の自然検索解析ツールです。検索エンジンからのアクセスについて、キーワードや順位、表示回数、クリック率、クリック数などが分かります。
Googleアナリティクス同様、導入必須のツールです。無料で利用ができます。導入したら、Googleアナリティクスとの連携も行なっておきましょう。
GRC
GRCは、検索順位解析ツールです。オウンドメディア内にある各ページの検索順位変化を、リアルタイムで追えます。
有料ツールですが、ツールを開くだけで順位が分かるため、投資する価値は十分にあります。規模の大きいメディアを運営している方は、導入必須といえるでしょう。
オウンドメディアの分析が必要な理由
オウンドメディアを改善していくためには、分析が欠かせません。以下、分析が必要な理由について項目ごとに解説します。
ユーザーの評価を知るため
オウンドメディアを分析することで、ユーザーの評価を知れます。例えば、直帰率やページ滞在時間などでを見れば、ページの熟読度合いが分かります。
記事コンテンツで直帰率が90%以上・ページ滞在時間が5分以下の場合には、改善が必要かもしれません。
どのキーワードが評価されているかを知るため
どのキーワードが評価されているかは、検索結果の順位で判断できます。特定キーワードで上位表示されている場合、競合が弱いか、Googleからそのテーマを評価されていると考えられます。
上位表示されているキーワードの周辺を狙って記事を作成すると、新規記事も評価を受けやすいです。評価されているキーワードを知ることで、新たな発見からユーザーの満足度を高め、メディアの価値を高められます。
【解析ツール】Google Analyticsの使い方と導入・設定方法を解説!
オウンドメディアの指標について
オウンドメディア運営では、指標を定義することが欠かせません。あらかじめ定義しておくべき指標は、以下のとおりです。
オウンドメディアの指標
オウンドメディアの指標は、「ゴール(KGI)」と「指標(KPI)」です。メディアの目的をKGIとして設定し、KGI達成に必要なマイルストーンをKPIとして定義します。
KGI
KGIとは、オウンドメディアで目指すべき最終目標を指します。設定する際には、客観的な数字で計れる定量的なゴールを設定することが重要です。ゴールを具体的にしておかなければ、ゴールまでの道のりも曖昧になってしまいます。
KPI
KPIとは、KGIを達成するために必要な中間目標を指します。KPIについても、KGI同様に具体的な数字を設定することが重要です。
事業におけるカスタマージャーニーによって、設定するKPIも変わってきます。フェーズ毎にKPIを設けることで、ゴールに対してどれくらいの距離があるのかを見える化することが、最終的な目標達成に繋がってくるでしょう。
段階ごとに設定される主なのKPIの種類は、以下のとおりです。
- 集客段階:PV数、UU、SNSでのシェア数
- ファン化段階:ページ滞在数
- 成果獲得段階:お問い合わせ数
KPIの設定には、達成すべきKGIが必要
的確なKPIを設定するには、オウンドメディアで何を成し遂げたいのかを考え抜くことが必要不可欠といえます。その手助けとなるのが、KPIツリーです。
KPIツリーは、KGIをトップとして、KPIを階層状に設定したものです。最終目標であるKGIから逆算してKPIを設定し、そのKPIを達成するのに必要なKPIを設定していきます。
オウンドメディアの指標を設ける注意点
オウンドメディアにとって指標は重要ですが、指標を設けることが目的にならないように注意が必要です。
効果測定できることを前提に
明確なデータを元にした根拠がないと、効果測定そのものができません。KPIを効果的に設定する際に用いられるのが、以下の頭文字を取った「SMART」モデルです。
- Specific(具体的)
- Measurable(計測可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連している)
- Time-bounded(期限が定められている)
上記のポイントを意識してKPIを作成すると、効果測定が容易になるでしょう。
認知獲得のフェーズでPVを指標におかない
PV数は季節やトレンドなど、コントロール不可能な要因に影響されてしまいます。認知獲得フェーズでは、検索順位を指標に置くのが良いでしょう。
検索順位が上がれば、ユーザーが検索結果画面からサイトを訪れてくれる割合が上がり、自然にPVも増えます。
到達できるゴールのインパクト
インパクトを重視して大きすぎる目標をKGIとして立ててしまいがちです。しかし、設ける指標がはたして市場において現実的であるかどうかを考えなければいけません。
無理な目標を立ててしまうと、適切なKPIを設定できず、KGI・KPIの設定自体が無駄になってしまいます。
対象コンテンツにおいて妥当な指標かどうか
目的はコンテンツごとに異なります。したがって、全てのコンテンツに対して一律に同じ指標を用いると、適切に効果を評価できない可能性が高いです。
例えば、指標として用いられる数値の1つとして読了率が挙げられます。しかし、全てのコンテンツで、最後まで目を通してもらうことが必ずしも良いとは限りません。
オウンドメディアを分析する上で確認したい指標
オウンドメディアを分析する上で確認したい指標は、以下のとおりです。Googleアナリティクスでの確認方法も合わせて記載していますので、ご確認ください。
ユーザー数
ユーザー数は、[ユーザ]→[概要]で確認できます。ユーザー数を調べることで、オウンドメディアが順調に育っているかどうかが分かります。
集客チャネル
集客チャネルは、[集客]→[全てのトラフィック]→[チャネル]で確認できます。どこからユーザーが流入しているのかを表す指標で、オウンドメディアの主たる集客経路が分かります。
記事別PV
記事別PVは、[行動]→[サイトコンテンツ]→[すべてのページ]で確認できます。どういったジャンルの記事が読まれているかを把握でき、今後の記事作成の参考にできます。
平均ページ滞在時間
平均ページ滞在時間は、ユーザーがWebサイトを閲覧するために滞在していた時間を示す指標です。[行動]→[サイトコンテンツ]→[すべてのページ]で確認できます。
離脱前にいたページの閲覧時間は測定することはできず、全ての閲覧時間を指している訳ではありません。滞在時間の目安は、5分です。
サイト定着率
サイト定着率は、[ユーザー]→[コホート分析]で確認できます。定期的にサイトを訪れているユーザーの割合を示す指標で、ユーザーフレンドリーなメディアとなっているかが分かります。
直帰率
直帰率とは、1ページだけ閲覧してサイトから離脱してしまったユーザーの割合を示す指標です。サイト全体の直帰率は、[ユーザー]→[概要]で確認できます。また、[行動]→[サイトコンテンツ]→[ランディングページ]で、ページごとの直帰率を確認することも可能です。
直帰率が低ければ、ユーザーがそのコンテンツに興味を持ってくれたという証になります。
読了率
読了率は、[行動]→[イベント]から確認できます。記事の最下部までたどりついたユーザーがどれくらいいるのかを表す指標で、コンテンツがユーザーニーズに合っていたかを知れます。
CV
CVとは、コンバージョンの略で、メディアの目標達成を意味します。例えば、商品購入やお問い合わせ、資料ダウンロードなどです。コンバージョンについてのデータは、[コンバージョン]→[目標]→[概要]で確認できます。
コンバージョンの数字がしっかり取れていれば、施策は事業に直接的に貢献していると判断することが可能です。
UU
UU(ユニークユーザー)とは、特定の期間内にサイトを訪れたユーザーの数のことです。Googleアナリティクスにおいては、「ユーザー数」と同じ概念を表します。
検索順位
検索順位は、サーチコンソールの[検索パフォーマンス]で確認します。基本的には10位以内に入ることが目標となり、それ以外の順位ではアクセスはほとんどありません。
検索順位を上げるために用いられるのがSEO対策です。オウンドメディア運営においては、このSEO対策を行うことが重要といえます。
SNSでのシェア数
SNSのシェア数は、各種SNSの投稿を見ることで確認できます。例えば、Twitterであれば、リツイート数やいいね数、リプライ数などが指標となるでしょう。
オウンドメディアの改善方法
オウンドメディアの指標を確認した上で、下記の改善方法を試みましょう。
検索での露出
検索結果への露出は、今ある記事を充実させたり、新しく記事を追加したりすることで改善できます。
まずは、現状どんなキーワードで流入があるかを調べることが重要です。その上で、流入が一定数ある記事に、コンテンツとして追加できそうなキーワードを探します。流入があるキーワードなのに記事で扱ってないものを見つけることで、ユーザーニーズをさらに満たせます。
ユーザーニーズを満たす記事は、Googleからも評価されるため、検索順位の上昇が見込めるでしょう。
ソーシャルメディアでの露出
検索結果での露出同様に、ソーシャルメディアでの露出も重要なポイントです。
Facebookでは、いいねをされることで投稿が拡散します。したがって、投稿に「いいね!」を増やすことが重要です。
まずは、ユーザーがFacebookを多く見ている時間帯に投稿しましょう。露出が増えたかどうかは、インサイト機能の「リーチ」という数字で把握できます。
Twitterでは、フォロワーを増やすことが重要です。フォロワーすを増やすことで、投稿が人の目に触れやすくなり、拡散してもらえる確率も高まります。
Twitterの詳しいデータは、「Twitterアナリティクス」を利用することで確認できます。
検索結果で自社の記事のクリック率を高める
まずは、サーチコンソールの[検索パフォーマンス]で、「検索されているのにクリック率が低いキーワード」を探します。
「表示回数」が多く「平均掲載順位」が高いもののクリック率を優先的に改善することで、サイトへのアクセスを効率良く増やすことが可能です。
ページタイトルの改善
ページタイトルに、流入のあるキーワードを含むようにしましょう。キーワードが入っていないと、ユーザーは自分には関係のないページだと思い、クリックしようとしません。
スニペットの改善
スニペットとは、検索結果でページタイトル下に表示される説明文のことです。メタディスクリプションとも呼ばれます。
ユーザーニーズに合わせて、記事内容を簡潔に示すことが重要です。ただし、Googleが自動的に本文から抽出するケースも増えてきているので、運営者側ではコントロールできないこともあります。
ソーシャルメディアでのクリック率を高める
検索結果でのクリック率と同様に、ソーシャルメディアでのクリック率も重要です。
Facebook投稿のクリック率は、[Facebookインサイト]で確認できます。投稿の画像とタイトルを、内容が端的に伝わるように改善することで、クリック率の改善が期待できます。
Twitter投稿のクリック率は、各投稿の[ツイートアクティビティ]で確認できます。投稿に表示されるリンクを「Twitterカード」といいますが、記事タイトル・アイキャッチ画像を変更することで、自動的に変更されます。
記事内容を分かりやすく伝えた上で、クリックしたくなる文言・デザインを工夫すると良いでしょう。
記事への導線を改善
導線が目立たないのにもかかわらず、次によく読まれている記事を見つけてリンクを増やします。Googleアナリティクスを開き、[行動]→[サイトコンテンツ]→[すべてのページ]→[ナビゲーションサマリー]で確認しましょう。
上記を改善することで、メディア内の回遊率が高まります。コンバージョンに結びつきやすくなる他、Googleからの評価が高まる可能性もあります。
CTAのクリック率
CTAとは、コールトゥアクションの略で、記事の出口を意味します。例えば、関連ページへの遷移やお問い合わせ、資料請求などがCTAの例です。
Googleアナリティクスの[行動]→[イベント]で、どの記事からCTAにつながったかを計測できます。CTAに繋がっている記事への流入を増やすことで、メディアの目標達成につながります。
まとめ
今回は、オウンドメディア分析の方法と、分析結果を活かした改善方法を解説しました。
本記事の要点は、以下のとおりです。
- オウンドメディアの分析を正しく行うには、正しいKGI・KPIの設定が必要
- Googleアナリティクス・サーチコンソールなどで指標を確認する
- 確認した指標を基に、個別記事やサイト内の導線、SNS投稿などを改善する
この記事を参考にして、オウンドメディアの正しい分析方法を把握し、オウンドメディアをさらに効果的に運用しましょう。